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ルネサスのモバイルソリューション アプリケーションプロセッサSH-Mobile
「SH-Mobile G series」でベースバンドとのワンチップ化を実現 短期・低コスト開発でグローバル展開を後押し

2000年に開発がスタートしたアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」は、2003年度からは海外市場でも急速に採用が拡大し、今や海外向けが国内向けを凌駕する勢いで成長を遂げている。2005年度には累計採用件数が230件を突破した。SHMobile事業を開発当初から牽引してきた川崎郁也は、「我々が当時描いていたことが今、現実として起きている」と振り返る。

川崎 郁也
Kawasaki Ikuya
ルネサス エレクトロニクス株式会社
システムソリューション統括本部
システムソリューション第二事業部
副事業部長
さまざまなモバイル機器に適用できるアプリケーションプロセッサ

SH-Mobileの生産個数は2008年度に5000万個に達することが予想されている。その時点での累計出荷数は1億個になる計算だ。さらに、SH-Mobileで磨き上げられてきた技術は、他のアプリケーション、たとえばデジタル家電製品などにも幅広く応用が効くため、世界中のモバイル機器市場全体が当面のマーケットだといっても過言ではない。「たとえば地上デジタル放送受信の技術を使ってポータブルテレビなどにも応用できます。携帯電話のカメラ技術も監視カメラなどに応用できます」(川崎)。

IP やミドルウエアでは、画像処理でMPEG-4やH.264 、WMV、DivX などの先進的なものがサポートされている。H.264は地上デジタルのワンセグ放送で使用されるが、SH-Mobileではすでにこの処理をハードウエアIPとして実行することが可能になっており、ソフトウエアで処理する場合と比べ、はるかに低消費電力でありながら高い処理能力を実現している(ミドルウエアの詳細はこちらを参照)。

ベースバンドとのワンチップ化で最適なプラットフォームをめざす

ベースバンドプロセッサとアプリケーションプロセッサを切り離すという方向性が高く評価される一方で、これら分離された両者をワンチップに統合して携帯電話開発時のコストと期間を削減したいという要求もある(図1、図2)。

そこでルネサスは、株式会社NTTドコモと共同で、GSM/GPRSとW-CDMAに対応するデュアルベースバンド機能をSH-Mobileに統合した「SH-Mobile G1」を開発した。「この共同開発を通じてルネサスは、NTTドコモとの間で携帯電話開発のロードマップを共有し、インフラとアプリケーションの進化の足並みを完全に揃えることができます」(同)。

さらに、アプリケーション機能を先行させたものについては、「SH-Mobile Gseries」のラインアップで展開し、ベースバンド側の変化のタイミングとのずれを回避していく(図3)。

SH-Mobile G seriesではさらに、開発パートナーとして富士通株式会社、三菱電機株式会社、シャープ株式会社(ABC順)を加えた5社共同で「SH-Mobile G2」を開発中である( 図4 )。SH-MobileG1がLSIの開発であったのに対し、SHMobileG2はLSIに加えハード、ソフトを含むプラットフォームとして開発されるという点で大きく異なる。「今後、S H -Mobile G2を採用した携帯電話開発では、基本部分をG2のようなプラットフォームに任せてしまい、独自色を出すための機能やデザインなどの開発に注力するスタイルになると予想しています」(同)。2006年4月には、プラットフォーム開発・販売の専任組織も立ち上げた(図5)。

また、SH-Mobile G series自身も、先進の開発プラットフォーム技術としてルネサスが注力する「EXREAL Platform™」をベースにして開発されている。

EXREAL Platform™は、プラットフォームのためのプラットフォームという位置付けから「マザープラットフォーム」とも呼んでいる。既存のソフト/ハード資産(コンポーネント)の再利用性を高める土台を提供し、機能拡張や追加が大幅に効率化できる仕組みによって携帯電話の開発工程を最適化することが可能になる。

図1:携帯電話プラットフォーム化の背景
3G市場の拡大に伴い、携帯電話機の開発期間短縮と、コスト競争力の向上が求められている。

図2:携帯電話プラットフォーム化する領域
通信機能やアプリケーションプロセス機能、電源、RFを共通化し、開発費や検査コストを低減。また、ボリューム効果による低コスト化を推進する。

図3:携帯電話プラットフォームの構造
携帯電話プラットフォームでは、必要な共通部分を完成度の高い1モジュールとして供給する。評価用のサンプルといった従来の次元の製品ではなく、SH-Mobile G2チップと周辺のチップセットが搭載されたハードウエアに通信側のリアルタイムOSやアプリケーション処理用OS、各種ドライバ、通信系ソフトウエアや多くのミドルウエアが組み込まれた、まさに実機と呼べるものとなる。

図4:携帯電話プラットフォームの実績
NTTドコモと共同で、SH-Mobile G1を開発し、ベースバンドとアプリケーション用プロセッサのワンチップ化を先行した。さらに、SH-MobileG2では、ミドルウエアを加え、携帯プラットフォームを完成させる。

図5:携帯電話プラットフォームの推進体制
プロダクト単位からプラットフォーム単位の開発・販売体制を2006年4月に新規に発足。プラットフォーム開発・販売の専任組織として携帯プラットフォーム開発センタと携帯プラットフォームマーケティングセンタを設立した

SH-Mobile G1が第13回 LSIオブ・ザ・イヤーを受賞

2005年4月~2006年3月に発表されたLSIおよびその設計技術を表彰する「第13 回 LSIオブ・ザ・イヤー」 (主催:半導体産業新聞、共催:リードエグジビジョンジャパン株式会社、選考委員長:九州大学システムLSI研究センター センター長、九州大学 教授の安浦寛人氏)が去る6月28日、「組み込みシステム開発技術展」(東京ビッグサイト)において発表され、「SH-Mobileシリーズ SH-Mobile G1」が、デバイス部門の優秀賞に選ばれた。

今回、デバイス部門では1181点の応募ノミネートがあり、特に優れた5点が優秀賞に選出されている。SH-Mobileシリーズは、特にモバイル分野を代表する技術として評価されたことが受賞につながった。審査員からは、「すでに230件のデザイン・ウインを達成しているSH-Mobile搭載の標準チップとして評価できる。緻密な電源制御などはISSCC2006でも高く評価された。携帯電話用ワンチップLSIを90nmで実現して高性能低消費電力を実現している」などの声が寄せられた。

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