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GLOBAL WATCH
Cloud Computing TODAY  協力する競合者、「coopetitors」の時代 - Europe Report
欧州を代表するクラウド・コンピューティングの業界団体である「EuroCloud」は、現会長のPierre-José Billotte氏によって2009年に設立された。欧州のクラウド・コンピューティング業界をよく知る同氏に、EuroCloudの概要と欧州におけるトレンドをたずねた。

欧州クラウド・コンピューティング業界をけん引 2レベルの組織が欧州をまとめる

EuroCloud 創立者、会長 Pierre-José Billotte氏

—まず、最初に、EuroCloudについておうがかいします。EuroCloudでは4つのミッションを掲げられているようですが、少しご説明いただけますか。

[ EuroCloudのミッション ]

  1. 社会全体にクラウド・コンピューティングへの認知を促し、クラウド業界のプロセスおよび基準を設計する役割を積極的に担う。
  2. クラウド・コンピューティングに興味を持つ企業のために、ベンダーまたはプロバイダーとして、あるいは、ファシリテーターまたはアグリゲータ(引率、集める立場)として、欧州全体で相互関係や知識を共有できるネットワークを構築する。
  3. 欧州当局、すなわち欧州委員会(European Commission)および欧州議会(European Parliament)と協力して、クラウド・コンピューティング業界の開発と成長のための環境整備を推進する。
  4. SNIA (Storage Networking Industry Association)やBSA (Business Software Alliance)、SIIA (Software and Information Industry Association) などのクラウド・コンピューティングに関わる既存業界団体とともに、クラウド・コンピューティング業界の権益を確立する。

Billotte氏:EuroCloudは欧州で設立された、特定の出資者とは無関係な非営利団体です。クラウド・コンピューティングを提供する側の組織で、クラウド・コンピューティングに関する問題だけに「純粋」に専念しています。
エコ・システム(業界全体の収益構造を意味する)について、国際的な立場から考える必要があると考えており、加盟国も欧州理事会(European Council)の唱える「Big Europe」と同じく、EU(European Union)加盟国を中心に東欧諸国とロシアを加えて27ヶ国にのぼります。

EuroCloudの体制は革新的で、二つのレベルで構成しています。ひとつは独立した地域(国)レベルでの組織で、例えば、EuroCloud UKやEuroCloud Franceなどで、「EuroCloud」というブランドの下で、国際的組織の強みを活かして、各地域のニーズに応えています。もうひとつは、欧州全体および国際的ニーズに対応する中央機関としてのEuroCloud Europeです。

欧州クラウド・コンピューティング業界の発展を目標としており、2010年に開催した第一回会議では、セキュリティ、SLA(サービスレベルアグリーメント)、法的枠組み、イノベーション、パートナーシップ、国際化の6項目を政策優先事項に定め、また、それに呼応する16 のアクション・プランも策定しました。

EuroCloudは欧州委員会(European Commission)の有力なパートナーであり、欧州のクラウド・ポリシーの立案をサポートしています。

図1:EuroCloudの組織イメージ

図1:EuroCloudの組織イメージ

—EuroCloudを設立された理由は?

Billotte氏:2009年の初頭のことです。クラウド・コンピューティングが単に新しい流行語ではなく、IT業界にパラダイムシフトを与えるものだと気付きました。全てのITの設計と使用方法が激変すると考えたのです。そして、このパラダイムシフトはグローバルな出来事であるとも。そのとき、欧州外の国や団体の主導のもとで、欧州にクラウド・コンピューティングを創造するのではなく、ヨーロッパ人、フランス人である私が、この新しく巨大な難題に取り組む欧州産業をサポートしようと思ったのです。

クラウド・コンピューティングがグローバルでパラダイムシフトを引き起こし、新しい形のITを生み出すことを、欧州の大小規模の業界に警告することが急務でした。

—活動を始められて2年少々ですが、その実績はいかがでしょう。

図2:年次会議場風景

図2:年次会議場風景

Billotte氏:EuroCloudの実績は、地域レベルと欧州レベルの両方で評価する必要があります。
地域レベルでは、各々の地域ごとに課題を持ち、クラウド・コンピューティングの発展に尽力しています。この地域レベルの活動は、非常に広範囲に渡るため、リストアップすることは困難です。
欧州レベルでは、ルクセンブルグで開催される年次会議において欧州レベルの課題を議論しています。年次会議では欧州委員会(European Commission)を始めとした他の組織との交流が可能で、また、イノベーションやユーザ事例を奨励するアワードイベントも開催しています。

EuroCloud

充実する欧州クラウド・コンピューティング企業 急がれる国際協力

—クラウド・コンピューティングについて考えると、例えばパイオニア的なAmazon Web Service、Microsoft Azure、Salesforce.comが思いつきます。それらはすべて米国西海岸発のグローバルに大きな影響力を持つ企業です。欧州のクラウド・コンピューティングのパイオニア的企業で、グローバルで活躍する、もしくはその可能性がある企業を教えていただけますか。

Billotte氏:私はEuroCloudの会長として、中立の立場が必要で特定の企業を奨励することは難しいですが、ちょうど先日、12月13日に「Pan-European Cloud Computing Awards」を発表しましたのでご紹介しましょう。いずれの企業も素晴らしいソリューションを提供しています。

Best Solution 2011: RunMyProcess (フランス)

Best Startup 2011: Severalnines (スウェーデン)

Best Use Case in the Public Sector 2011: EBRC (ルクセンブルグ)

Best Use Case in the Private Sector 2011: eBuilder (スウェーデン)

—クラウド・コンピューティングに対する信頼性と安全性の問題が、世界中で議論されています。どのように考えていますか。欧州の企業は、ハッキングやデータへの不正アクセス、あるいは予定外の停電などを危惧していますか。

Billotte氏:もちろん、欧州でも信頼性と安全性は重要な懸案事項です。業界も常に最新の問題に取り組んでおり、欧州委員会(European Commission)が作成した(将来の)欧州のクラウド・ポリシーにも反映されています。

信頼性と安全性の問題は、病気にかかることを恐れるのと同じです。病気を恐れることが幸福に生きることの妨げになっては本末転倒です。逆に、恐れがあるからこそ、前向きな効果が生まれ、ユーザはサービス契約の内容やプロバイダーが導入したセキュリティ手段に関して注意を払うでしょう。

この問題については、すでに、世界中で多くの課題が克服されています。欧州でもそれらを参考にしてプロバイダーは対策を講じています。また、EuroCloudでもソフトウェアやサービスの品質を保証する証明書を発行する予定です。

—サービスの契約や付随する法的な問題は、欧州内で国境を越えてどのようにして運用されるのですか。

Billotte氏:相互運用やデータ・プライバシー、セキュリティに関する問題が該当するでしょう。これらの問題については欧州委員会(European Commission)が対処し、まもなく、Neelie Kroes 氏(Vice President of the European Commission Commissioner)よりクラウド・コンピューティングの運用ポリシーについての発表が行われるでしょう。EuroCloud Europeは、同氏がこうした懸案事項について適切な対策を講じる手助けをしています。

—EuroCloudは、米国およびアジアとの協力を促進するとウェブサイトで述べていらっしゃいますが、何か成功談を教えていただけますか。

Billotte氏:私たちは、これまで、主に欧州の問題に集中してきました。したがって、残念ですが、この話題に関する成功談をお話することができません。しかし、EuroCloud Europeの専門のワーキンググループが米国やアジアとの窓口になり、国際的な交渉や折衝などを担当する予定です。一部では、すでに接触を開始しています。
欧州外との国際的な協力体制の構築は、現在の最優先課題になっています。

—国際的な協力体制の構築は、同時に、欧州外企業と欧州内企業の競合関係を生むことになりませんか。

Billotte氏:国際的な協力は、世界中で安全かつ高品質なクラウド・サービスを提供するために不可欠です。また、すべての企業が守るべきルールも生まれるでしょう。

通常のビジネスでの競争相手は、クラウド・コンピューティング業界では「coopetitors(協力する競合者)」になるのです。

—最後に新興企業についておうかがいしましょう。注目すべき企業をご紹介ください。

Billotte氏:先にお話をした「Pan-European Cloud Computing Awards」の「Best Startup 2011」部門の最終選考に残った企業をご紹介しましょう。ドイツのCloudSafe(ウェブアクセス・セキュリティ)、フランスの
We are Cloud(ビジネスインテリジェンス)、ポルトガルのMuchbeta(ネットワーク構築)、スロベニアの
DIVENTIC(コミュニケーション) 、ルクセンブルグのWealth@Work(資産管理)などです。これらは、欧州クラウド・コンピューティング業界の将来を代表する企業に成長するでしょう。


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