こうした幅広いモータ制御へのニーズに対し、これまでルネサスはR8CファミリやH8S/H8SX/M16Cファミリ、SuperHファミリにて、ロー、ミドル、ハイレンジに対応可能な、まさに総力を挙げたラインアップで応えてきた。 このモータ制御を重視するルネサスの姿勢は、今回のRXでより明確化され、強化されている。それを象徴するのが、モータ制御機能を強化したRX62Tグループだ。 RX62Tは、主にH8S/H8SX/M16Cファミリでカバーしていたミドルレンジクラスのモータ制御用アプリケーションに対応するべく、当初から3V版と5V版を用意し、それぞれ64ピンから112ピンまでの幅広いラインアップをもっている(表1)。より少ピンの品種も検討中だ。 RX62Tの「T」はタイマを意味し、モータ制御で必須となるタイマ機能には特に力を入れている。RXコアにより処理性能が向上したことから、従来SuperHファミリに搭載してインバータ制御向けで好評だったMTU2(Multifunction Timer Unit)の機能向上を図ったMTU3やCMT(Compare Match Timer)、RX62Tで初めて搭載となる汎用PWMタイマのGPT(General purpose PWM Timer)など、タイマ機能の向上を図った。これにより、これまでSuperHファミリがカバーしていた高速性と高機能を満たさなければならない領域へも、部分的ではあるが適用できるようになり、高性能モータ制御分野への対応力が大きく増強された。 なかでもMTU3は、16ビットタイマ×8チャネル(クロックリソース100MHz)、最大24本のパルス入出力と3本のパルス入力が可能で、最大12相のPWM(Pulse Width Modulation)出力が得られる。最大27チャネルのインプットキャプチャも装備している。 | | モータ制御用の機能としては、相補PWM(デッドタイム付き三相PWM(三角波))を2チャネル生成でき、これによりMTU3で3相モータを2個駆動可能である。またエンコーダからの入力として16ビット2ch、またはカスケード接続により32ビット1chの位相計数カウンタとして使用可能である。 MTU3では、MTU2から強化した機能として相補PWM時のPWMデューティレジスタのダブルバッファ化がある。従来のMTU2はシングルバッファであったため相補PWMのように三角波を使ったキャリア周波数毎のデューティ変更ではタイマへの入力クロックに対し分解能が実質半分になってしまい、分解能をあげるにはハーフキャリア毎にPWMデューティを更新する必要があるため結果的にCPU負荷の増大につながっていた。MTU3では、PWMデューティの設定レジスタを三角波のアップカウント用とダウンカウント用それぞれ用意することにより、キャリア周波数毎のデューティ変更で2つのレジスタに同時に書くことができ、分解能を最大に保ちつつCPU負荷を減らすことが可能となっている。 また、RX62Tで新規に開発した汎用PWMタイマでは1相の相補PWMを最大4組出力可能で、モータ家電応用でのPFC制御や電源応用でのマルチフェーズ出力への対応が可能である。 |