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RXの最新ラインアップ—モータコントロール機能を強化したRX62T


モータ制御に求められる環境性能
事実、RXはエコロジーに強い


動力源としてのモータはさまざまな機器に搭載され、同時に多くの電力を消費するパーツでもあり、その電力の削減が不可欠である。さらには、インバータ制御の応用として、太陽光発電システムなどの新たなニーズもあり、ますますエコロジーへの重要な要素となっている。モータの消費電力を削減することがモータ制御用マイコンの大きな使命であり、この分野で豊富な実績をもつルネサスマイコンもRXの開発を契機に、より踏み込んだソリューションを展開している。その1つが、RXコアをベースにしてモータ制御向けに開発されたRX62Tグループである。豊富なタイマ機能を搭載し、RXコアの高い処理性能を活かしたきめ細かなモータ制御を可能にしている。

多様化するモータ制御ニーズ エコロジー対応でも注目を浴びる

国内では2009年7月よりエコポイント制度の導入、世界的には地球温暖化防止などにより、一般消費者がエアコン・冷蔵庫などの家電や民生機器に対して、省エネ性能を重視して購入する機会が大幅に増えてきた。それにより、家電や民生機器は、省エネ性能を高めること、すなわち大きな電力を消費するモータをきめ細かく制御し、消費電力を削減することが必須となっている。さらには静音性などのより付加価値の高いモータ制御能力も求められており、産業用などでも、高速性や低振動を実現する高度な制御が不可欠となってきている。

さらには、用途が広がるにつれてブラシ付きDCモータ、ブラシレスDCモータ、ステッピングモータ、ユニバーサルモータ、ACモータなどのモータの種類も増えている。また、ブラシレスDCモータだけでも、矩形波駆動制御、正弦波駆動制御や正弦波ベクトル制御といった、複数の複雑な制御アルゴリズムがある。また、正弦波駆動ベクトル制御やACモータのセンサレスベクトル制御などでは、瞬時にモータ電流を検出して演算を行う必要があり、高性能マイコンと高速A/Dコンバータをセットで提供するソリューションが不可欠となっている。つまりモータ制御向けのマイコンには、さまざまな方式のモータや制御アルゴリズムに対応できる演算力と、豊富な周辺機能を取り揃えた幅広いラインアップが要求されているのだ。

豊富なタイマ機能を搭載 高速・高機能でモータ制御が可能

こうした幅広いモータ制御へのニーズに対し、これまでルネサスはR8CファミリやH8S/H8SX/M16Cファミリ、SuperHファミリにて、ロー、ミドル、ハイレンジに対応可能な、まさに総力を挙げたラインアップで応えてきた。

このモータ制御を重視するルネサスの姿勢は、今回のRXでより明確化され、強化されている。それを象徴するのが、モータ制御機能を強化したRX62Tグループだ。

RX62Tは、主にH8S/H8SX/M16Cファミリでカバーしていたミドルレンジクラスのモータ制御用アプリケーションに対応するべく、当初から3V版と5V版を用意し、それぞれ64ピンから112ピンまでの幅広いラインアップをもっている(表1)。より少ピンの品種も検討中だ。

RX62Tの「T」はタイマを意味し、モータ制御で必須となるタイマ機能には特に力を入れている。RXコアにより処理性能が向上したことから、従来SuperHファミリに搭載してインバータ制御向けで好評だったMTU2(Multifunction Timer Unit)の機能向上を図ったMTU3やCMT(Compare Match Timer)、RX62Tで初めて搭載となる汎用PWMタイマのGPT(General purpose PWM Timer)など、タイマ機能の向上を図った。これにより、これまでSuperHファミリがカバーしていた高速性と高機能を満たさなければならない領域へも、部分的ではあるが適用できるようになり、高性能モータ制御分野への対応力が大きく増強された。

なかでもMTU3は、16ビットタイマ×8チャネル(クロックリソース100MHz)、最大24本のパルス入出力と3本のパルス入力が可能で、最大12相のPWM(Pulse Width Modulation)出力が得られる。最大27チャネルのインプットキャプチャも装備している。

モータ制御用の機能としては、相補PWM(デッドタイム付き三相PWM(三角波))を2チャネル生成でき、これによりMTU3で3相モータを2個駆動可能である。またエンコーダからの入力として16ビット2ch、またはカスケード接続により32ビット1chの位相計数カウンタとして使用可能である。

MTU3では、MTU2から強化した機能として相補PWM時のPWMデューティレジスタのダブルバッファ化がある。従来のMTU2はシングルバッファであったため相補PWMのように三角波を使ったキャリア周波数毎のデューティ変更ではタイマへの入力クロックに対し分解能が実質半分になってしまい、分解能をあげるにはハーフキャリア毎にPWMデューティを更新する必要があるため結果的にCPU負荷の増大につながっていた。MTU3では、PWMデューティの設定レジスタを三角波のアップカウント用とダウンカウント用それぞれ用意することにより、キャリア周波数毎のデューティ変更で2つのレジスタに同時に書くことができ、分解能を最大に保ちつつCPU負荷を減らすことが可能となっている。

また、RX62Tで新規に開発した汎用PWMタイマでは1相の相補PWMを最大4組出力可能で、モータ家電応用でのPFC制御や電源応用でのマルチフェーズ出力への対応が可能である。

表1:RX62Tグループのラインアップ一覧
12ビットA/Dコンバータを2ユニット、10ビットA/Dコンバータを1ユニット搭載し2つのモータの制御に対応

また、RX62TではA/Dコンバータを計3ユニット搭載した。12ビットA/Dコンバータの各ユニットにはシャント電流検出用の機能を搭載しており、外付け部品の低減と使い勝手の向上を図っている。

一般に、ベクトル制御の電流検出にはCTなどの電流センサが使われるが、家庭用電化製品に用いられるモータ応用では、それに代わってインバータの保護用に備わっているシャント抵抗に流れる電流を使ってモータの負荷や速度を推定するセンサレスベクトル制御が一般的になってきている。このシャント制御を実現するには高い演算能力が必要になるため、RXの高いコア性能が有利となる。

2ユニットの12ビットA/Dコンバータそれぞれで1つのモータを制御し、また残りの10ビットA/Dコンバータ(12ch)でその他の電圧もモニタできる仕様となっている。

RX62Tの高性能コア、高機能なPWM、高分解能のA/Dコンバータなどを活用することにより、たとえばエアコン室外機を例にとると、コンプレッサとファンモータ、およびPFC(力率改善)を1チップで制御し、かつ消費電力を低く抑えることが可能であり、省エネに大きく貢献できる(図1)。

図1:RX62Tグループをエアコン室外機に搭載した例。高速・高性能コア、内蔵フラッシュメモリや豊富な周辺機器の搭載により、周辺ICの削減も可能となる。
家電製品の安全基準をクリア インバータ制御でエコに貢献

RX62Tの開発に際しては、ワールドワイドに展開していくことを見据えRenesas Technology Europe Limitedなど海外のルネサスグループ各社と協力し、マイコンへのニーズ調査を綿密に実施した。その結果いろいろな周辺機能のブラッシュアップに加え安全規格への対応が必須であることが分かり、仕様に盛り込んだ。

重視した安全規格とは、家電機器に関する安全基準を定めた国際電気標準規格「IEC60730」である。すでに欧州では、2007年10月からIEC60730に準拠することが義務付けられている。RX62Tでは、専用OCO(On-chip Oscillator)が付いたIWDT(Independent Watchdog Timer)でのシステムクロック監視による異常の検出、クロックの発振停止監視および周波数監視、CRC(Cyclic Redundancy Check)による通信機能の監視、A/Dコンバータの監視機能などを装備することで、ユーザが容易にシステムの安全性向上を図ることができる。

また、RX62TはCPUコアに浮動小数点演算ユニット(FPU)や乗除算・積和演算の機能を付加しているが、これらはインバータのベクトル制御にも威力を発揮するものであり、他社製品には無い特長となっている。FPUにより上流のシミュレーションツールを用いて作成したCコードをそのまま使用することができ、モータの変更などがあった場合でも、ソフトウエアの修正箇所が少なくて済みメンテナンスの容易化を図ることが可能である。

冒頭でも述べたように、モータ制御用技術、特にインバータ制御技術はモータばかりでなく、太陽光発電システムの太陽電池からの直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナや無停電電源装置などに活用することができる。その意味でもRX62Tの適用分野は広く、今後のエコロジー対応のアプリケーションや製品にも大きく貢献していく。

図2:RX62Tグループのブロック図と機能強化点。


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