Skip to main content

ルネサスのアナログ技術


電源


力率改善(PFC)ICと低耐圧パワーMOSFETに注力
あらゆるアプリケーションにマッチした電源用ICを提供

電源は、携帯電話から家電、自動車に至るまでのあらゆるアプリケーションで不可欠であり、特に近年の高性能化や低消費電力化を背景として、効率と精度の向上が強く求められている。ルネサスは、より低損失の電源向け製品を開発することで、さまざまなアプリケーションでの厳しい要求に応える。

お客様の製品に最適で高精度の電源ソリューションが不可欠

あらゆる電子機器が搭載する電源の役割は、入力電力を負荷である電子回路が動く電圧に変換し、電子回路が必要とする電流を供給することに尽きる。入力電力は大別すると、家庭や工場などの電力線である交流100Vまたは交流200Vと、直流電圧を出力する電池(バッテリ)に分かれる。入力電力が交流の場合は、ACアダプタまたはAC/DCコンバータによって交流を直流に変換してから、電圧変換回路(DC/DCコンバータ)を介して必要な直流電圧を供給する。入力電圧がバッテリの場合は、バッテリの出力電圧をDC/DCコンバータによって電子回路が求める電圧に変換する。

電源は物理的には、エネルギーの形を変換するシステムである。したがって理想的には無損失、すなわち変換効率100パーセントが望ましい。しかし現実的に不可能であり、100%をめざした改良が継続して行われている。

一方で、電源に求める詳細な仕様は電子機器によって千差万別であり、半導体メーカにはお客様の製品に最適な電源設計と具体的な製品供給が求められる。また、昨今の低消費電力化ニーズは、電源への要求をよりシビアにする要因ともなっており、マイコンなどの低消費電力化とは切っても切れない関係にある。

こうした背景からルネサスでは、さまざまな電源用ICと電源用個別半導体(ディスクリート)の両面にわたって研究開発を進めてきた。お客様と密接な連携を図りつつ、アナログ特有の試行錯誤を繰り返しつつ独自の設計ノウハウを蓄積し、各種の電子機器に適した電源ソリューションを展開している(図1)。

図1:ルネサスの電源関連製品事業展開。さらに、取り扱う電圧と電流の違いによって応用分野別に各種の製品を用意している。
臨界モード制御のPFCで損失と高調波雑音を減らす

ルネサスが電源用ICで特に注力しているのが、(1)DSC(Digital Still Camera)、DVC(Digital Video Camera)など携帯機器、(2)パソコンと周辺機器(プリンタ他)、(3)AV 機器、FPD(Flat Panel Display)、白物家電、という3つのアプリケーションである。

主流となっている電源ICとしては、まず薄型テレビの電源に向けて開発した、力率改善(PFC:Power Factor Correction)ICの「R2A20112」がある。PFCは、交流電流の位相と波形を整形することで、損失(無効電力)と高調波雑音を減らす回路である。交流の商用電源を直流に変換する、AC/DCコンバータとともに使われる。

PFCの制御モードには複数の方式があるが、いずれもMOSFETスイッチとインダクタを組み合わせて使う。今回開発したR2A20112では小型化に向いた臨界モードを制御モードに採用し、2個のMOSFETを交互にスイッチングするインターリーブ動作をさせることで小型化や低雑音化などを実現した(下記解説記事参照)。

また、DSCに向けた電源用I Cとしては、DC/DCコンバータICの「R2A20010」がある。1セルのリチウムイオン二次電池または2本の乾電池を入力電力とし、DSCの各回路に電力を供給する。出力電力は8チャネルあり、DSCの電子回路が必要とする複数の電圧をこの1 個のI Cだけでまかなうことができる。8チャネル出力のなかで5チャネルはMOSFETを内蔵しており、同期整流方式と併せて外付け部品の削減と電源システムの小型化に寄与する。

今後もさらなる効率の改善を目指すとともに、周辺部品を取り込んでシステムコストの低減を図っていく予定である。

このほか、ノートPCのバッテリシステム(3~4セルのリチウムイオン電池パック)用に、マイコンとリチウムイオン電池保護ICをSiPとして1パッケージに収納した「R2J24010」を開発した。740ファミリ用エミュレータMCUの「M37512」とリチウムイオン電池保護IC「R2S20020」を組み合わせたもので、高精度の電池残量管理機能や電池保護機能などを備える。SiP化することで実装面積を大幅に削減するとともに、実装基板の配線設計の手間を減らした。

パワーMOSFETの低損失化が電源の効率向上に貢献

個別半導体(ディスクリート)では、ルネサスは低耐圧パワーMOSFETや中高耐圧パワーMOSFET、自動車用パワーMOSFET、カメラのストロボ用IGBT、家電用トライアック/サイリスタなどで汎用製品を提供している。マイコンやシステムソリューション事業との連動により、すでに特定の用途で強みを発揮しており、たとえばカメラのストロボ用IGBTでは、シェアで世界一である。

電源関連で注力しているのは、低耐圧パワーMOSFETである。同期整流方式のDC/DCコンバータを主な用途としている。電源側のハイサイドMOSFETと接地側のローサイドMOSFETがあり、両方のMOSFETを交互にオン/オフすることで目的の電圧と電流を出力する。DC/DCコンバータの効率はハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETの損失に大きく左右される。ハイサイドMOSFETではゲート電荷注入量(Qg)を小さくすること、ローサイドMOSFETではオン抵抗(Ron)を低くすることが損失の低減に大きく寄与する。

DC/DCコンバータ用低耐圧パワーMOSFETには、ノートパソコン用とサーバ用がある。

ノートパソコン用では過去、何世代にもわたって改良を繰り返してきた。図2で示しているように、最新世代は第10世代に相当する。開発コード名で「JET」(ジェット)と呼ばれる世代である。DC/DCコンバータ用パワーMOSFETの総合性能を示す指標であるFOMには、Qg×Ronが使われる。前の世代(第9世代)である「Speed」(スピード:開発コード名)ではFOMが97mΩnCだったのに対し、JETではFOMを78mΩnCに減らした。およそ20%の性能改善を達成したことになる。RonとQgでみてもそれぞれ、JETではSpeedに比べて30%ずつ低減した。

サーバ用では、米Intelのマイクロプロセッサ用電源電圧制御技術「VRD(Voltage Regulator Down)」に向けたパワーモジュール「DrMOS(Integrated Driver-MOSFET)」を製品化してきた。2 個のパワーMOSFET(ハイサイドとローサイド)とゲートドライバ回路をSiP 技術によって1パッケージにまとめた製品である。現行の第2世代DrMOSでは、ローサイドのパワーMOSFETが内蔵するダイオードをpn接合型からショットキバリア型に変更し、スイッチング周波数を高めるとともに効率を高めている。

ノートパソコンやサーバなどに搭載するCPUは電源電圧の低下と電流量の増大が著しい。低電圧/大電流という電源にとって厳しい要求に対し、ルネサスのアナログ技術が的確に応えていることが分かる。

今後は、これらのパワーMOSFETやPFCICをマイコンなどと並ぶ汎用製品事業のひとつとして育成することも視野に入れ、お客様のさまざまな製品に最適な電源ソリューションをいち早く提供できる体制を整備していく方針だ。

● 自動車向け&低耐圧のパワーMOSFET

ルネサスは、自動車用パワーMOSFETと低耐圧パワーMOSFETのシェア拡大に注力している。自動車用は大出力モータなどをターゲットとした超低オン抵抗とパッケージ技術により、従来比2倍までの大電流化と高機能化を実現した。低耐圧製品は、低容量、高速スイッチング、低オン抵抗特性の改善を両立することによって損失を従来比30%減らすことに成功している。主流はハイエンドサーバ向けのDrMOSと、ノートPC向けのJETシリーズ(開発コード名)となる。

図2:自動車用パワーMOSFETのロードマップ(上)と、低耐圧パワーMOSFETのロードマップ(下)
● 高効率/低ノイズ/小型薄型化を実現する臨界モードインターリーブPFC IC R2A20112

PFCの動作モードには、設計が複雑になるが大電力に適した電流連続モード、効率が高くて小型化しやすい臨界モードなどがある。「R2A20112」は効率の高い臨界モードを選択するとともに、インターリーブ動作させることでインダクタを流れる電流を少なくした。この結果、フィルタとインダクタ、コンデンサに外形寸法の小さな品種を使えるようになった。またリップル電流が低くなるともに、輻射ノイズと伝導ノイズを低減できた。

図3:R2A20112を搭載した24V電源用のボード外観(上)とインターリーブ回路構成

写真:R2A20112のインターリーブ動作による100W出力時と400W出力時の電力波形
アプリケーション情報はこちら


End of content

Back To Top