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ルネサスの車載制御への取り組み(3)


シャーシ/エアバッグ制御向けソリューション


SuperHの高度なモータ制御機能をEPSに活かす
エアバッグ向けはH8SXで処理能力の向上に貢献

電動パワーステアリング(EPS)など、自動車の挙動をコントロールするシャーシ系では、モータによる電動化が進んでいる。またエアバッグは、種類や機能が拡充されるにつれ、制御が複雑化してきている。ルネサスは、EPS向けとして高度なモータ制御を実現するSH7147/SH7142を提供してきた。またエアバッグ向けでは、処理能力を1.7倍に引き上げたH8SX/1700シリーズが登場した。

電動パワステのモータ制御にSuperHファミリを提供

曲がる、止まるなど、自動車の動きを制御するハンドルやブレーキといったシャーシ系の機能についても、マイコンによる制御が不可欠となっている。なかでも運転者の意思を正確に、かつ快適に伝えることが必要なパワーステアリングは従来、エンジンの動力を利用した油圧でステアリング操作をアシストしていたが、最近ではモータでステアリング操作をアシストする電動パワーステアリング(EPS)が増えてきた。

パワーステアリングを油圧駆動からモータ駆動に変えることの利点は、燃費の向上である。油圧駆動では常にポンプを動かしているのに対し、モータ駆動ではパワーアシストが必要なときにだけモータを動かせばよいからだ。また停止(アイドリング)時にエンジンをカットしても、EPSであればパワーアシストが効く。走行速度に応じてステアリングの操舵力を簡単に変更できるという利点もある。

EPSのモータは、DCモータ(ブラシあり)から、ブラシレスDCモータへと移行している。ブラシレスDCモータは耐久性に優れているものの、制御アルゴリズムが複雑なため、制御するマイコンには三相モータ制御機能はもとより、高速動作と高分解能AD変換機能が求められる。そこでルネサスは、SH-2コアを内蔵するSuperHファミリの中からSH7147とSH7142を提供する。また、EPS制御用のサブマイコンとしてR8C/Tinyシリーズを推奨している。

EPS制御向けのメインマイコンとなるSH7147とSH7142の動作周波数は64MHzから80MHzと高く、8チャネル×2モジュールの12ビットAD変換器をもち、そのうち6チャネルは同時サンプリングが可能である。従来のEPS向けマイコンであるSH7047は動作周波数40MHzでAD変換器は10ビットであったことから、SH7147では周波数で2倍、AD変換器の分解能も10ビットから12ビットへと2倍以上の総合性能である。フラッシュメモリは、80MHz動作時でも1クロックサイクルでアクセスできるもので、マイコン内蔵フラッシュメモリとしては非常に高速である。

SH7147とSH7142はいずれも512Kバイトの大容量フラッシュメモリを搭載しているのも特長だ。SH7147は256Kバイト/384Kバイト/512Kバイトから、SH7142は256Kバイト/512Kバイトから選択できる。さらに、内蔵RAMも容量を12Kバイト/16Kバイトから選べる。

SH7147はCANインタフェースを1チャネル、SH7142はCANインタフェースを2チャネル内蔵している。このほかSSU(Synchronous Serial Communication Unit)およびSCI(Serial Communication Interface)インタフェースも装備し、幅広い通信形態に対応することができるのも強みである。

なお、サブマイコンのR8C/Tinyシリーズは、20MHz動作で16K/32K/48Kバイトのフラッシュメモリを搭載するモデルが中心となっている。

今後は、動作周波数が120~200MHzで1Mバイトのフラッシュメモリを搭載するEPS向けマイコンを開発し(図1)、車載ネットワークはFlexRayに対応していく。

図1:シャーシ制御用マイコンのロードマップ
エアバッグ制御システムではH8SXマイコンに新種を投入

他方、当初からマイコンでの制御を前提に開発されているエアバッグは、極めて厳しい動作基準を満たすことが要求される。センサが衝突を検知すると、ガス発生装置を点火し、発生するガスによってエアバッグを瞬時に膨らませ、乗員を受け止めて衝突エネルギを吸収する。この一連の動作に必要な時間はきわめて短く、約0.2秒程度しかかからない。

エアバッグが動作していない状態でも、エアバッグ制御システムは車体へのさまざまな衝撃を解析し、「衝突していないこと」を一定周期で検出し続けている。検出周期は数100μsと短く、1秒間に数100回もこのルーチンを繰り返していることになる。そしてエアバッグが動作すべき衝突を検出すると、一瞬でガス発生装置の点火ルーチンに切り換わる。

側面衝突に対応するためのサイドエアバッグやカーテンエアバッグなど、エアバッグと衝突センサの数は近年、増える一方であり、エアバッグ制御マイコンには高い処理性能が要求されてきた。また車載ラジオなどの受信性能に影響を与えないよう、低雑音性も重要な仕様となる。

そこでルネサスは、これまで32ビットCISCコアのH8SXコアを搭載したH8SX/1527(動作周波数48MHz、NOR型フラッシュメモリ内蔵)を提供してきた(図2)。そして今回、より高性能化したH8SX/1700シリーズを開発し、その第一弾として、2007年10月にH8SX/1725をサンプル出荷する(Product Informationに参考記事)。

H8SX/1725は、H8SX/1527に比べて動作周波数を80MHzと1.7倍に高めている。エアバッグ制御で重視されるメモリアクセスの高速化では、最大100MHzで動作可能な256MバイトのMONOS型フラッシュメモリを搭載し、80MHzで動作しながら1クロックサイクルでアクセスできるという。MONOS型は、150nmプロセス技術を採用したルネサス独自開発のフラッシュメモリ技術である。

また、H8SX/1527で開発したソフトウェア資産を流用することができるほか、FMラジオ帯域(70MHz~110MHz)、VHFテレビ帯域(150MHz~400MHz)での放射雑音を大きく低減したため、車載ラジオと車載テレビへの影響を従来よりも気にせずに開発できるようになるのも大きなメリットとなる。

今後は、H8SX/1700シリーズでROMやRAMの容量ならびにピン数のバリエーションを拡充するとともにCANインタフェースの追加を図り、ハイエンドからローエンドまでの幅広いニーズをカバーしていく。

図2:エアバッグ制御用マイコンのロードマップ

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