曲がる、止まるなど、自動車の動きを制御するハンドルやブレーキといったシャーシ系の機能についても、マイコンによる制御が不可欠となっている。なかでも運転者の意思を正確に、かつ快適に伝えることが必要なパワーステアリングは従来、エンジンの動力を利用した油圧でステアリング操作をアシストしていたが、最近ではモータでステアリング操作をアシストする電動パワーステアリング(EPS)が増えてきた。 パワーステアリングを油圧駆動からモータ駆動に変えることの利点は、燃費の向上である。油圧駆動では常にポンプを動かしているのに対し、モータ駆動ではパワーアシストが必要なときにだけモータを動かせばよいからだ。また停止(アイドリング)時にエンジンをカットしても、EPSであればパワーアシストが効く。走行速度に応じてステアリングの操舵力を簡単に変更できるという利点もある。 EPSのモータは、DCモータ(ブラシあり)から、ブラシレスDCモータへと移行している。ブラシレスDCモータは耐久性に優れているものの、制御アルゴリズムが複雑なため、制御するマイコンには三相モータ制御機能はもとより、高速動作と高分解能AD変換機能が求められる。そこでルネサスは、SH-2コアを内蔵するSuperHファミリの中からSH7147とSH7142を提供する。また、EPS制御用のサブマイコンとしてR8C/Tinyシリーズを推奨している。 EPS制御向けのメインマイコンとなるSH7147とSH7142の動作周波数は64MHzから80MHzと高く、8チャネル×2モジュールの12ビットAD変換器をもち、そのうち6チャネルは同時サンプリングが可能である。従来のEPS向けマイコンであるSH7047は動作周波数40MHzでAD変換器は10ビットであったことから、SH7147では周波数で2倍、AD変換器の分解能も10ビットから12ビットへと2倍以上の総合性能である。フラッシュメモリは、80MHz動作時でも1クロックサイクルでアクセスできるもので、マイコン内蔵フラッシュメモリとしては非常に高速である。 | | SH7147とSH7142はいずれも512Kバイトの大容量フラッシュメモリを搭載しているのも特長だ。SH7147は256Kバイト/384Kバイト/512Kバイトから、SH7142は256Kバイト/512Kバイトから選択できる。さらに、内蔵RAMも容量を12Kバイト/16Kバイトから選べる。 SH7147はCANインタフェースを1チャネル、SH7142はCANインタフェースを2チャネル内蔵している。このほかSSU(Synchronous Serial Communication Unit)およびSCI(Serial Communication Interface)インタフェースも装備し、幅広い通信形態に対応することができるのも強みである。 なお、サブマイコンのR8C/Tinyシリーズは、20MHz動作で16K/32K/48Kバイトのフラッシュメモリを搭載するモデルが中心となっている。 今後は、動作周波数が120~200MHzで1Mバイトのフラッシュメモリを搭載するEPS向けマイコンを開発し(図1)、車載ネットワークはFlexRayに対応していく。 |