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「スマートグリッド」実現に向けた取り組み

1)低炭素社会の実現に向けて

世界中で温室効果ガスの削減を目指して、低炭素社会へのシフトが始まっています。特に重要なのは電力で、太陽光発電や風力発電など、発電の際に化石燃料を消費しない再生可能エネルギーへの転換が積極的に進められています。
しかし、その一方で、こうした再生可能エネルギーは、発電量が気象条件によって大きく左右されるため、規模が大きくなるにつれ、電力網全体の安定性を損なう要因となることが懸念されています。また、今後プラグインハイブリッド車や電気自動車向けの電力需要が急増することも予想され、従来の電力システムでは対応できなくなる可能性も出てきました。
こうした状況を背景に、電力網の安定性確保と電力の有効利用のために提案されているのが「スマートグリッド」です。特に米国では、オバマ政権が環境対策と景気対策の両面から「グリーンニューディール政策」を打ち出し、スマートグリッドへの重点的な投資を表明したことから注目を集めています。

2)スマートグリッドとその波及効果

スマートグリッドは、発電所から送電、変電設備、そして各事業所や家庭までを通信技術やIT技術でネットワーク化し、安定した電力エネルギーの供給と効率的な利用を目指すシステムのことです。最新のテクノロジで送電網全体をインテリジェント化し、温室効果ガスの削減と省エネを実現する賢い電力システム、それがスマートグリッドなのです。
また、スマートグリッドは単に電力の配電システムの刷新を図るだけでなく、その応用範囲は多岐にわたり、様々なサービスや新たな産業を生むものと期待されています。スマートグリッドに関連して成長すると考えられている事業には次のようなものがあります。

  1. 新たなエネルギー蓄積/管理システム
  2. 太陽光発電などの売買電/課金・決済システム
  3. スマートメータによる省エネの「見える化」と検針の自動化
  4. 家電制御(デマンドレスポンス、デマンドサイドマネジメントなど)
  5. セキュリティ(防 犯)、防災システムなど

3)重要性を増す通信とネットワーク

スマートグリッドの基盤となるのが通信インフラであり、その役割は電力ネットワーク全体に広がっています。スマートグリッドにおける通信技術の主な用途としては、太陽光発電などの効率的な運用、変電網の障害検出、電力ピークの管理、事業所や家庭内の電力消費のモニタリング、電力を利用する機器のコントロールや機器どうしの通信などが上げられます。
通信手段については、有線通信、無線通信、電力線重畳などが用途に応じて使い分けられます。配線の必要がない無線通信は設置も容易で、通信方式も現在では近距離から遠距離まで様々な無線技術を利用できます。たとえば、電力メータに広域無線を組み込めば遠隔検針(一定期間ごとの電力使用量を調べる作業)を実現できます。また、屋内では、既存の電力線を利用して機器同士の情報のやりとりを行う電力線重畳通信の普及が進むと考えられます。
さらに、こうした通信手段がネットワーク化されることによって、スマートグリッド全体のフレキシブルな制御と運用が実現されます。家庭内ではホームエリアネットワーク(HAN)が機器制御に用いられ、電力のムダを削減します。また、広域ネットワーク(WAN)やインターネットを活用することで、大規模な電力インフラの構築も可能になります。

4)スマートメータ ~スマートグリッドへの入口~

これまで電力会社は、検針作業(電気の使用量を知るために計量器の目盛りを調べて回ること)にかかる人件費削減や、外部から磁気などによって不正行為が行われるのを防止する目的から、電力メータの電子化やAMR (Automated Meter Reading: 自動検針) 対応を進めてきました。
電力会社はこうした電子化された電力メータを使うことで、電力使用量に関する様々なデータを管理し、きめ細かいサービスを提供することができます。たとえば全体の使用量が少ない時間帯に割安な電力料金を設定するプランを用意すれば、利用者にとっては割安な時間帯に電気を使うことで電力料金の節約になり、電力会社もピーク時の発電量を抑えることが可能になるといったメリットがあります。
さらに電力各社は高度化したAMI (Advanced Metering Infrastructure: 高度検針インフラストラクチャ)の導入を進めています。AMIは、自動検針や利用者へのサービス向上に加え、広域の電力設備の運用・保守、自然災害(落雷など)からの復旧支援、太陽光発電による売電(電力会社へ電気を売ること)などを含めた、総合的な電力管理システムと定義されています。このAMIを実現する高機能な電力メータを「スマートメータ」と呼びます。
スマートメータは、ほぼリアルタイムに電力を測定し、広域ネットワーク(WAN)などを介して電力会社と通信することで、双方向の電力制御や、 プリペイドカードによる決済などを実現するものです。将来的には電力需要のピークを抑えるため、ネットワークを介して電力会社がエアコンの温度設定を調節するといった活用法も視野に入れています。すでに海外では国や州の政策として、スマートメータの導入を義務づけているところもあります。


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