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車載情報機器等の高性能マルチメディアシステム向けにデュアルコア・プロセッサ「SH7786グループ」を開発


− 高性能32ビット CPUコア「SH-4A」を2個搭載し、1920MIPSの高処理性能を実現 −


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2008年1月31日
株式会社ルネサス テクノロジ
株式会社ルネサス テクノロジ(本社: 東京都千代田区、会長&CEO: 伊藤 達)は、このたび、カーナビゲーション(以下、カーナビ)をはじめとする車載情報機器等の高性能マルチメディアシステム向けに、当社の最高性能CPUコア「SH-4A」を2個搭載し、最大1920MIPS(Million Instructions Per Second)(注1)(533MHz動作時)の高処理性能を実現する「SH-4A」デュアルコア・プロセッサ「SH7786グループ」を開発しました。
第一弾製品として90nmプロセス品を特定顧客向けにサンプル出荷中であり、第二弾製品として65nmプロセス品を開発中です。本65nmプロセス品は、90nmプロセス品をベースに低消費電力等のコストパフォーマンスを向上しており、2008年10月にサンプル出荷予定です。
「SH7786グループ」のCPUコアは、32ビットRISC(注2)マイコン「SuperH(注3)ファミリ」の最上位CPUコアで、かつカーナビ向けに実績がある「SH-4A」に、新規にマルチコア対応用のコアアーキテクチャを採用したもので、SMP(対称型マルチプロセッシング)(注4)およびAMP(非対称型マルチプロセッシング)(注4)に対応し、1つの処理を2つのコアで効率よく並列処理できます。このため、最大1920MIPS(533MHz動作時)の高処理性能を実現でき、例えば次世代のカーナビに要求される多彩なグラフィックス表示や高品質のオーディオ再生、画像認識等を実現するための高速かつ複雑な情報処理が消費電力の低減と共に実現可能となります。
また、マルチコア製品用のシステム開発を容易化できることも大きな特長の1つです。マルチコア製品では、各CPUコアに異なる特性や機能をもつシステム(ドメイン)を分担させ、CPUコアが互いに連携をとりながら統合的に動作する機能分散型システムを開発します。本「SH7786グループ」では、当社開発の機能分散型システム構築支援技術(複数ドメインのOS[Operating System]間を統合する通信インタフェース技術とOS間の干渉を抑止する技術)を適用しているため、従来のシングルOSで動作する多くの既存ソフトウェア資産を流用することができ、マルチコアによる機能分散化システムを短期間で構築できます。そして、複数の異なる種類のOSで動作させる時の高信頼性実現をサポートできます。
今後のマルチコア展開としては、本技術をベースに4個のCPUコアを搭載した製品や、画像処理機能等のカーナビに必要な機能を殆ど全て搭載したカーナビ用SoCのデュアルコア版等を製品化予定です。

<製品化の背景>

ルネサスでは、設立当初より重点3分野(自動車、モバイル、PC/AV)の1つとして自動車用半導体事業に注力しており、現在マイコンではカーナビ、エンジンとトランスミッション、ダッシュボード、エアバック等の各分野で国内トップシェア(注5)を獲得しています。特にカーナビ向けマイコンシェアは国内80%、世界で60%(注5)と高く、国内外の様々な機器に採用されています。そして、カーナビをはじめとする車載情報機器向けの製品展開として、地図描画等を行なう画像処理LSIとのチップセットで使用するケースに対応した高性能プロセッサのラインアップと、画像処理機能等のカーナビに必要な殆ど全ての機能を1チップで提供するケースに対応した高性能SoCのラインアップを揃え、顧客の幅広い要求に対応しています。
一方、カーナビをはじめとする車載情報などの高性能マルチメディアシステムでは、多機能化、高性能化が著しく、2Dグラフィックスや3Dグラフィックス表示を組み合わせた高度で多彩な地図描画だけでなく、オーディオやビデオなどのエンターテイメント機能など多機能化しています。さらに今後は、画像認識等、安全に関わる高度な情報処理も増し、車載における統合的な情報システムの中心として、より高度なマルチメディア化が図られてきています。しかし、こうした莫大な情報を処理するプロセッサないしSoC(System on Chip)には、更なる高性能化が求められていますが、従来のようなプロセスの微細化や動作速度の高速化で対応するには消費電力増大等の問題が生じています。
このため高性能と低消費電力を両立する技術として1つのチップに複数のCPUを搭載し、処理を各CPUコアで並列、または分散して実行することで性能を向上するマルチコア技術が求められています。
ルネサスでは、早くからマルチコア技術に取り組んでおり、既に2つのCPUコアを搭載したデュアルコアのマイクロコントローラを汎用用途向けに2007年4月に製品化発表しています。また、プロセッサでは、「SH-4A」を4個搭載したチップを試作し、最大4320MIPS(600MHz動作時)の高処理性能を実現しています。そして今回、こうしたマルチコア技術を車載情報機器等向けプロセッサに適用し、高性能のマルチメディア処理を実現する「SH-4A」デュアルコア・プロセッサ「SH7786グループ」を開発しました。

<製品および特長について>

「SH7786グループ」のCPUは、32ビットRISC CPUコアであるSH-1、SH-2、SH-3、およびSH-4コア搭載マイクロコンピュータと命令セットレベルで上位互換性を特長とする、「SH-4A」を2個1チップに搭載しています。本「SH-4A」デュアルコアでは、新規にマルチコア対応用のコアアーキテクチャを採用し、SMP(対称型マルチプロセッシング)、およびAMP(非対称型マルチプロセッシング)2つの方式に対応しているため、顧客のシステム構成に柔軟に対応可能です。
また、各CPU毎に独立して、クロック周波数と低消費電力モードを設定することが可能であり、負荷変動に応じて消費電力の最小化を図ることも可能となっています。
「SH7786グループ」の主な特長は、以下のとおりです。
(1) 高性能CPUコア「SH-4A」を2個搭載し、1920MIPSの高処理性能を実現
「SH7786グループ」では、533MHz動作時に960MIPSの処理性能を持つ「SH-4A」コアを2個搭載し、最大1920MIPSの高処理性能を実現しています。このため次世代のカーナビに要求される多彩なグラフィックス表示や高品質のオーディオ再生、画像認識等を実現するための高速かつ複雑な情報処理が消費電力の低減と共に可能となります。        
また、最大533MHzで動作する浮動小数点演算器(FPU:Floating-point Processing Unit)を各CPUコアに内蔵しています。FPUは単精度および倍精度演算をサポートし、単精度で最大7.46GFLOPS(Giga FLoating Operations Per Second)を実現しており、例えば静止画やMPEG動画のコーデック処理の高速化や高品質化が図れます。
(2) マルチコアによる機能分散型システムの開発期間短縮と高信頼性をサポート
マルチコアデバイスを使用した機能分散型システムでは、異なる特性や機能をもつ個々のシステムをドメインと呼びます。本「SH7786グループ」は、複数ドメインのOS間を統合する通信インタフェース技術(ドメイン連携)である「EXREAL-ExARIA(エクスリアル-エクスアリア)」(注6)と、複数ドメインのOS間の干渉抑止技術(ドメイン分離)である「EXREAL-ExVisor(エクスリアル-エクスバイザー)」(注6)を適用しています。
これらの2つの技術により、マルチコアによる機能分散型システムの開発が容易となり、既存の1つの「SH-4A」コア用に開発した多くのソフトウェア資産をそのままデュアルコア・プロセッサ「SH7786グループ」のシステムに流用することができるため、システム開発期間の短縮が可能です。また、複数の異なる種類のOSで動作させる時の高信頼性実現をサポートできます。
(3) リアルタイムトレースデバッグのサポートにより、ソフトウェア開発負担を軽減
顧客によるシステム開発時には、搭載したプロセッサがプログラム通りに動作するか、実行状況をチェック(トレース)し、プログラムの誤り(バグ)を探して取り除く(デバッグする)作業を行ないます。本デュアルコア・プロセッサ「SH7786グループ」では、オンチップデバッグ機能としてH-UDI (User Debug Interface)機能、AUD(Advanced User Debugger)機能を搭載しており、最大動作周波数でのリアルタイムデバッグおよびリアルタイムトレースが可能です。この他にも柔軟なデバッグを可能とするエミュレータ等を整えており、顧客のソフトウェア開発負担を軽減できます。
(4) PCI Expressバスインタフェース内蔵により、高速なデータ転送が可能
PCI Expressバスインタフェースは、シリアル伝送方式の入出力インタフェースで、大量のデータ転送が可能です。「SH7786グループ」では、1レーン(注7)から4レーンまで設定可能なPCI Expressバスインタフェースを複数個搭載しており、外部メモリや、他の複数個のPCI Expressバスインタフェースを搭載したデバイスとの最大800Mバイト/秒程度の高速データ転送が可能です。さらにレーン間の高速データ転送機能も有しています。
例えば、外部にPCI Expressバス接続仕様の高性能表示デバイスを接続することで、高度な表示機能を実現できるほか、PCI Expressバスインタフェース対応の周辺デバイスなど既存の標準的で安価なデバイスとの使用も可能です。これにより、システムの柔軟な拡張や、システムコストの低価格化を図ることができます。

<製品の補足>

「SH7786グループ」の「SH-4A」デュアルコアでは、SMP(対称型マルチプロセッシング)、およびAMP(非対称型マルチプロセッシング)に対応していますが、SMPに対応するため、スヌープコントローラが搭載されており、これを経由してCPUに内蔵のキャッシュの更新データをCPUコア間でやり取りし、キャッシュのコヒーレンシ(一貫性)を維持することが可能です。
さらに、各CPU毎に独立して、クロック周波数と低消費電力モードを設定することが可能で、負荷変動に応じて消費電力の最小化を図ることも可能となっています。
キャッシュメモリとしては、4ウェイセットアソシアティブの命令キャッシュを32Kバイト、同じく4ウェイセットアソシアティブのデータキャッシュを32Kバイト、それぞれのコアに搭載しており、かつキャッシュコヒーレンシサポートによりソフトウェア処理の高速化が実現できます。
またさらに、命令取り出し時に高速アクセスできるRAMを8Kバイト、データアクセス時に高速アクセスが可能なRAMを16Kバイト、それぞれのCPUに搭載しており、これらのRAMに例外処理プログラムなどを格納することで、システムのリアルタイム性能の向上を図ることが可能です。
また、前述のPCI Expressバスインタフェース内蔵に加え、USB規格v2.0のハイスピード(480Mbps)対応のホストおよびファンクション機能を搭載しており、USB機能の容易な開発が可能であり、かつ外付け部品として必要であったUSB2.0の専用LSIを削減することができます。
さらに、本「SH7786グループ」には、IEEE802.3規格(注8)に準拠したメディアアクセスコントローラ(MAC)(注9)を搭載しており、10M/100Mbps(bit per second)のイーサネットLANへの接続機能の開発が容易です。
開発環境としては、オンチップデバッギングエミュレータの「E10A-USB」マルチコア対応版エミュレータを用意しており、同時実行、同時ブレーク、一方のCPUのみのブレークや再実行など、同期デバッグ機能を準備し、デバッグシーンに応じた柔軟なデバッグを可能にしています。
また、マルチコアトレース(2G bps)に対応した高機能フルスペックエミュレータ「E200F」マルチコア対応版も用意しており、システム開発における顧客のソフト開発負担を軽減します。
今後は「SH7786グループ」をベースに、各種分野向けの周辺機能を搭載した製品等の開発を進め、市場ニーズにタイムリーに対応する製品を提供していきます。

■ 注記

(注 1)
MIPS(Million Instructions Per Second): CPUの処理性能を表す単位。1秒間当たり100万回の命令(インストラクション)を処理する性能を「1MIPS」とし、この数値が大きいほど、CPUの処理性能は高いとみなせる。
(注 2)
RISC(Reduced Instruction Set Computer): 命令セットを簡略化することでハードウェアを簡素化し、高速化を図ることを目的にしたコンピュータ。
(注 3)
SuperHTMは、(株)ルネサス テクノロジの商標です。
(注 4)
SMP(Symmetric Multi-Processing: 対称型マルチプロセッシング)およびAMP(Asymmetric Multi-Processing:非対称型マルチプロセッシング):
SMPは同じCPUコアを2個以上内蔵し、2個以上のCPUコアが1個のOSの下で動く方式で、AMPは、同じCPUコアを2個以上内蔵し、それぞれのCPUコアが異なるOSまたは複数の同一OSの下で動く方式。
(注 5)
シェアはルネサス テクノロジ推定
(注 6)
「EXREAL-ExARIA」、「EXREAL-ExVisor」: ルネサスのSoC(System On Chip)のチップ開発から顧客におけるシステム開発までの統合ソリューションを提供する「Exreal PlatformTM」(エクスリアル・プラットフォーム)に適用する、マルチコアによる機能分散型システム用の技術で、株式会社日立製作所と協力し、開発した。
※「Exreal PlatformTM」は、分野別のプラットフォームを開発するためのベースとなるマザープラットフォーム。
(注 7)
1レーン: PCI Expressでは、ポイント・ツー・ポイントのシリアル伝送を採用しており、物理層は1方向あたり2本の信号線で構成され、双方向のデータ転送には最小構成で4本の信号線が必要となる。この最小構成を1レーンと呼ぶ。
(注 8)
IEEE802.3規格: IEEE802は、IEEE(米国電気電子技術者協会)が、LANの標準化を目的に発足した委員会名。IEEE802.3は、CSMA/CD方式の10M/100MbpsのイーサネットLAN仕様規格。CSMA/CDは、Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionの略で、送信前にキャリアの有無を検出し、送信中に衝突を検出すると一定時間待機して再送信する。
(注 9)
MAC(Media Access Control): データリンク層内の下位副層。フレームの送受信方法、フレームのフォーマット、データの誤り検出などを規定している。
 *  その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。

■ 応用機器例

  • カーナビゲーション機器、アミューズメント機器、デジタル家電機器、産業機器等

■ 仕様

項目 「SH7786グループ」 仕様
電源電圧 1.00(内部)、1.8V(PCI Express)、3.3V(I/O)
最大動作周波数 533MHz × 2
最大処理性能 1920MIPS、7.46GFLOPS (533MHz動作時)
CPUコア SH-4A × 2
動作周囲温度 -40 ~ 85℃
内蔵RAM 高速RAM: (8Kバイト + 16Kバイト)× 2
外部バス
インタフェース
  • ローカルバスステートコントローラ:
    SRAM、バーストROMなどを接続可能。
    MPXバス、PCMCIAインタフェースをサポート。
  • PCI Expressバスコントローラ:
    PCIe Root point または End pointとして動作。
    バーチャルチャネル(VC)を2本サポート
  • USBコントローラ:
    USB2.0インタフェース
    ポート数:2ポート (Host/Function 1ポート、Host 1ポート)
    ホスト機能: EHCI Ver1.0、OHCI Ver1.0aをサポート
    ファンクション機能: USB2.0サポートのデバイスコントローラを内蔵
    転送速度: ハイスピード/フルスピード
  • Ethernetコントローラ:
    IEEE802.3u 準拠のMIIインタフェース(PHYなし)
    フレーム送受信可能
    10/100Mbps転送対応
    マジックパケット検出
    フロー制御(IEEE802.3x / バックプレッシャー方式)
    DMAコントローラを内蔵
主な内蔵周辺機能 ディスプレイユニット854 × 480ドット(最大)
ダイレクトメモリアクセスコントローラ × 12チャネル
FIFO付きシリアルコミュニケーションインタフェース× 6チャネル(最大)
タイマ × 6チャネル
各種サウンドインタフェース
割り込みコントローラ

■ お客様からの問い合わせ先

株式会社ルネサス テクノロジ マイコン統括本部 自動車事業部 自動車応用技術第二部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 (日本ビル)
電話 03(5201)2952 (ダイヤルイン)
Webでの問合せ ]
以 上